この店は、オープンした当初から良い肉をリーズナブルな価格で出すらしいと聞き及んでいた店でして、でもアクセスが環状線今宮駅という周りに何もなくて全く潰しが利かない場所なので、レビューの回数をこなすのに随分時間がかかってしまいました。
最近は、やたらとあちこちで和牛A5ランクを謳いつつ、塊肉をうやうやしくショーケースに飾って、皿には部位を書いた札を飾る焼き肉店が出て来ておりまして、そんな市場にA5がホイホイ出てくるわけないだろとツッコミを入れつつ冷笑するのが常ですけど、この店は難波の高級店である「肉匠おか元」で修行された方がやっておられるらしく、ルートは確かなようですよ。

実際に肉を食べてみると、朝日屋で買った松阪牛と同様に、脂の融点が低くて水のように臭みが無くてサラッとしており、霜降りなのに全然しつこくありません。いや、これは確かに本物ですわ。

1皿の量はやや少なめではありますが、このクォリティで人気部位のハラミやサガリが1000円以内、インサイドスカートやチマキ、フケといった正肉の希少部位も600円台からある安さ。ほぼ「肉匠おか元」の半額と言っていいでしょう。
さらに驚きなのはホルモンの安さで、普通のルートではまず手に入らない和牛限定のホルモンが1皿280円からあり、たっぷり入ったレバーや真っ白に美しく掃除されたセンマイが580円、アカセンや丸腸といった人気部位でさえたったの380円とあり得ない価格がついています。
ただしタンだけはメニューには無いんですけどね。おそらく、鶴橋あたりの肉屋を見ると分かるんですが、和牛のタンは輸入に較べて法外な値段がついているので、この店のように他の部位に利益を転嫁しない方針の店では出せないんでしょう。

西成の北開という人気の少ない場所、それもガレージを改装した店内は3組のみと非常にキャパが小さく、道具はカンテキがテーブルに1つと外側を限界までシンプルにして、その分で肉を原価に近い値段で出すという店の心意気をひしひしと感じますね。
ネギと野菜が大皿にどさっと載ったネギサラダ、コクの有るヤンニョムが効いたキムチ、讃岐ばりに腰があるかすうどんなど、サイドメニューのクォリティも肉に負けず劣らず。
ただ、欲を言えば正肉の熟成度合いにバラつきがあるのと、肉にはコショウだけで下味が一切付けられていないだけに、この店の単純な甘辛ダレではちょっと肉に負ける感じがしますかね~。でも、このコストパフォーマンスでそこまで要求するのは過分でしょう。
辺鄙な場所ではありますが、わざわざ足を運ぶ価値がある事は保証します!是非予約して訪れてみてください。
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千一夜ホルモン / 今宮駅、芦原橋駅、木津川駅)

夜総合点★★★★ 4.0