B級的・大阪グルメブログ旧館その2

現在でもイギリスの食文化の中心はやはりパブを置いて他にありません。
しかし、そのパブでも街の中心にあるようなところでは、やはり女性主導文化の影響が出てきているようです。その大きな一つは、パブフードの充実ですね。
昔でも、地方の一軒家でやっているようなパブではレストランを兼ねていたところは多かったのですが、都市部のパブではだいたい男どもが立ってビール、たまにスコッチを飲むばかりでありました。
しかし、最近では「ガストロパブ」と称した食事を売りにしたパブが登場したり、普通のパブでもフードメニューには、従来のフィッシュ&チップス、ステーキ、ステイク&キドニーパイなどの伝統料理に並んで、なぜかチキン・ティカといったインド料理や、ペンネなどのイタリア料理があったりします。ま、どこも同じような種類ばかりなので、そういう冷凍食品を使っているだけなのかもしれませんが。
もう一つは椅子席の増加でしょうか。昔もパブに椅子席はあった事はあったのですが、座っていたとしても、昼間っからはた迷惑にブチュブチュやっているようなカップルであったり男女のグループ客だったりして、あとは延々と立って飲む男たちで占められていたわけですが、今は席が空いてないので立って飲んでいる、といった感じのところが増えて来ちゃいましたね。
また、肝心のビールの点でも、「ライト&コールド化」という時代の流れが来ているようです。
イギリスのビールと来れば、ぬるくて気が抜けていてやや甘苦いエール(ビター)がまず第一に来るのですが、いまや過半数以上のお客さんがラガー、つまり日本と同じようなビールを頼むようになっています。
しかも場所によっては、エール自体を置いていないパブもあるような有様で、代わりにあるのが「Stella Artois」のような、冷えて軽いライトエールだったりします。
その代わりに今ではすっかり日本でもおなじみのギネスが全国的な普及を見せていますが、そのギネスにしても「Extra Cold」と銘打たれた冷えたものも用意されていて、ビールのコールド化という流れを象徴したものになってましたね。

日本でも今や雨後の竹の子のように、街中にうじゃうじゃ湧き出しているスターバックスですが、それはイギリスでも例外ではありません。さらに、スタバに加えてCOSTAなどといったエスプレッソを飲ませる店までもが、そこら中に出来ていたのは驚きました。
まあエスプレッソとは言っても、イギリスのものはイタリアほど小さなカップじゃないでちょっと安心(?)しましたが、昔サンドイッチとミルクティーを買って食べた、Earl's Courtの駅前の店が、すっかりフランスパンとコーヒーの店になっていたのは少し悲しかったですねえ。最初にイギリスを訪れた時にそこのミルクティーを飲んだ時は、日本のティーバック紅茶のような渋みと色ばかりが出るようなのと違って、実に日常的であっさりとした飲み易さに感動したもんでしたが・・・
そしてコーヒー店と同じくらいに街に増えたのは、イタリアやエスニック、そしてカリフォルニア料理でワインを飲ませるような、いわゆる「こじゃれ系」のバーですね。イギリス伝統のパブも消えてしまったわけではありませんが、昔はそれこそ全ての街角にあったと言っても過言じゃなかったパブの影が、今ではすっかり薄くなってしまったのは寂しい限りです。
パブの客層がおっさんばかりに偏っているのに対し、バーは女性やカップルでほとんどが占められているのを見ても、やはり日本も含めて世界的に消費の主導権は女性が引っ張る時代になって来た証拠なのかもしれませんね。